夕凪に映える月
◇ ◇ ◇ ◇
「じゃ、行ってくるから。」
「うん。頑張ってね、お兄ちゃん。」
あっちゃんと気持ちを確認しあった一週間後。お兄ちゃんが受験に旅立った。
東京の私大を受けることにしたお兄ちゃん。風香さんも同じ大学を受けるということで、2人は新幹線のチケットやホテルを示し合わせて、取ったらしい。
そんなお兄ちゃんを見て、頑張れ!と思う一方で、これが終わったら……と考えてしまう自分がいた。
あぁ、何やってんだろ、私。
風香さんもお兄ちゃんも一生懸命勉強して、今日の日に挑んでいるのに、私は何てこと考えてるんだろう。
あっちゃんと気持ちを確認しあった、あの日から。私はどんどん意地悪な女になっている気がする。
見てるだけで満足だったのに、手に入るとわかった瞬間に欲が出る。
こんな日でさえ、彼のことを思ってしまう自分に心底驚く。
私はそんな自分に毎日、自己嫌悪に陥っていた。
そしてこっちゃんが昔言っていた“不健康な恋愛”という言葉を思い出す。
きっとこれは不健康な恋愛なんだろう。風香さんを裏切って、内緒であんな約束なんてして。
彼が手に入るかどうか、なんて正直よくわからないし、あっちゃんがどこまで本気なのかも疑わしい。
あっちゃんにも、風香さんにも黒い感情が渦巻き始める。そしてそんな自分に吐き気がする。
不健康な恋愛なんてしても、何もいいことなんてない。
こっちゃんの言葉の通りだと心底思った。
「じゃ、行ってくるから。」
「うん。頑張ってね、お兄ちゃん。」
あっちゃんと気持ちを確認しあった一週間後。お兄ちゃんが受験に旅立った。
東京の私大を受けることにしたお兄ちゃん。風香さんも同じ大学を受けるということで、2人は新幹線のチケットやホテルを示し合わせて、取ったらしい。
そんなお兄ちゃんを見て、頑張れ!と思う一方で、これが終わったら……と考えてしまう自分がいた。
あぁ、何やってんだろ、私。
風香さんもお兄ちゃんも一生懸命勉強して、今日の日に挑んでいるのに、私は何てこと考えてるんだろう。
あっちゃんと気持ちを確認しあった、あの日から。私はどんどん意地悪な女になっている気がする。
見てるだけで満足だったのに、手に入るとわかった瞬間に欲が出る。
こんな日でさえ、彼のことを思ってしまう自分に心底驚く。
私はそんな自分に毎日、自己嫌悪に陥っていた。
そしてこっちゃんが昔言っていた“不健康な恋愛”という言葉を思い出す。
きっとこれは不健康な恋愛なんだろう。風香さんを裏切って、内緒であんな約束なんてして。
彼が手に入るかどうか、なんて正直よくわからないし、あっちゃんがどこまで本気なのかも疑わしい。
あっちゃんにも、風香さんにも黒い感情が渦巻き始める。そしてそんな自分に吐き気がする。
不健康な恋愛なんてしても、何もいいことなんてない。
こっちゃんの言葉の通りだと心底思った。