夕凪に映える月
あっちゃんからメールがあるでも電話があるでもなく、いつもと変わらない毎日を過ごす、私。
3日後
お兄ちゃんは「あー!疲れた!!」という言葉とともに家に戻ってきた。
「お疲れ様!どうだった??」
リビングのソファーでぐったりしているお兄ちゃんに声をかけると
「うーーん。まぁ大丈夫だとは思うんだけど……。」
なんだか煮え切らない言葉が返ってきた。
お兄ちゃんらしくない、奥歯に物が挟まったような思い切りのない言葉に首をひねっていると
「しょーがねぇよなぁ。
こればっかりは……さぁ…。」
お兄ちゃんはまた、わけのわからない言葉をつぶやいたのだった。
様子がおかしい。
そう思ったのは私だけじゃなかったらしく
「ミナト、テスト上手くいかなかったの?何か失敗したの??」
キッチンで家事をしていたママまでもが、お兄ちゃんに声をかける。
お兄ちゃんは私とママを交互に見てハァとため息を吐くと
「そういうわけじゃねぇよ。
言っただろ?大丈夫だと思う、って。
面接も下手なことはしてねぇよ。」
ため息交じりにこんな言葉を口にした。