夕凪に映える月
「じゃあ、なんでそんなにアンニュイなのよ。」
「そうだよ!いつものお兄ちゃんなら、これで自由だ〜!!って大喜びしてるとこだよ??!」
ママと2人で何やら様子のおかしいお兄ちゃんを問い詰めてると
「生きてるといろいろあるな、ってことだよ。」
「え??」
「人生ってマニュアル通りに上手くいくもんじゃねぇな。」
今までよりもっと意味のわからない言葉をつぶやくと、お兄ちゃんは荷物を持って自分の部屋へと帰っていったのだった。
変なお兄ちゃん。
お兄ちゃんはいつも明るくて、ニコニコしてて、みんなからの愛されキャラで、あんな風に思いつめた顔を見たのって、妹の私でも数回しかないように思う。
よっぽどの出来事があったのかな……。
直感でそう思った。
そうじゃなきゃ、あんな風にお兄ちゃんが沈み込むハズがない。
よし……。
ちょっと事情聴取に行ってみよう!
ママの前で言えないことでも、私なら言ってくれるかもしれないし。