夕凪に映える月
*海の鏡に光る月
◇ ◇ ◇ ◇
あの夜から2ヶ月が過ぎ、季節は新緑の季節になった。
お兄ちゃんと風香さんは大学一年生に。私とこっちゃんは高校二年生になっていた。
「もうさー。かわいいんだよー、新田さん!」
こっちゃんは相変わらず新田さんに絶賛片思い中で、毎日毎日恋バナに忙しい。
お兄ちゃんと風香さんも東京での生活を楽しんでいるようだ。
みんなそれぞれの時間を
一日一日を大切に生きている。
時間は永遠に流れているわけではなく、いつ終わりを告げるかわからないものだ。とあっちゃんが教えてくれたから。
明日があるとは限らない。
必ず明日が来るとは限らない。
だからやるべきことは今やっておくべきだと思うし、伝えたいことはその場で言わなきゃもったいない。
だって……
誰にでも明日があるだなんて限らないから。
明日、伝えられるかどうかなんて、誰にもわからないものだと知ったから。