クソガキ
◆第二章
家庭教師
「結衣さん。」
「なに」
「結衣さんって頭いいんすか?」
「‥‥は?」
いつもの朝。
いつもの朝食の席で、洵は突拍子もなくそんなことを言った。
「‥‥どういう意味よ。」
‥‥‥このクソガキ‥‥私の偏差値にまで文句つける気?;
私は嫌な目つきで洵を見下ろす。
「‥‥‥‥いや‥‥結衣さんって、教職とってるじゃないですか?なんの先生になるんすか?」
いきなり話が変わる;
私は、疑いの目を洵に向けながら言った。
「‥‥いちお、なるとしたら数学の先生だけど」
「まぢで!!!」
‥‥‥突然、態度が変わる洵‥;
‥何たくらんでるわけ?;
‥ガタン!!
いきなり洵は立ち上がり、無駄に熱い手で私の両手をつかんだ‥‥‥
「結衣さん!」
「は、はい‥」
真っ正面から洵にガン見され、私は完全にビビり、思わず後ずさる。
「俺に‥‥俺に教えてください!!
勉強!
勉強!!
特に数学!!数学!」
今にも飛び掛かってきそうな勢いで、洵は言う‥‥。
‥‥勉強‥‥?
「‥‥い、いーけど別に‥」
「まぢっすかッ!!あーざーすっ*」
今度は、抱き着いてきそうな雰囲気の洵‥
私は条件反射で、バッと逃げた。