クソガキ
「何?」
3度目に名前を呼ばれ、ハッとし、私は漫画を閉じて洵の隣にのろのろと歩いていった。
「ここわからないです」
洵はそう言って、問題集を私が見えるように寄せてくれた。
私はかがんで、髪を耳にかける。
「んー?‥‥‥‥あー、これはねぇー‥」
「あ、座ります?」
洵はそう言って、自分の椅子から立ち上がり、私ににすすめてくれる。
「いーよ。あんた座るとこなくなるやん」
「あ、俺なら大丈夫っすよ!バランスボールあるから」
洵は得意気にそう言って、片手を大きくクロールし、
近くにあったバランスボールをつかんだ。
「ほら」
そう言って、洵はピョンとボールの上に美しく飛び乗る。
そして、まだキョトンとしている私の手を引っ張って、無理矢理向かい合わせに座らせた。
「‥‥‥」
ボヨン、ボヨン、ボヨン‥
『ほら、見て。
俺の洗練された技
正座だってできるんだ☆』
そう言いたげな洵。
ボヨン、ボヨン‥‥
私は洵に両手をつかまれ、椅子の上‥‥
洵はピンクのバランスボールの上で、カロリー消費‥‥
2人でしばらく無言で見つめ合い‥‥‥
「‥‥‥ぷッ 笑」
突然こらえきれなくなり、私は噴きだした。