クソガキ
私は、首をかしげてみた。
すると、洵が口を開く‥‥
「‥‥‥俺、‥‥‥本当は、高校なんてどうでもいいって思ってたんです。今の学校、キライだし」
‥‥不意にでた言葉。
「‥‥そう」
私は戸惑いながらも、頷いた‥‥。
「でも‥‥‥今は、退学にだけはなりたくないんです」
‥‥洵はそう言って、私の目をじっと見つめる‥‥。
「‥‥どうして‥?」
私は、思わずそう呟いた。
‥‥そこまで洵の気持ちを変えたもの‥
きかずにはいられなかった‥‥‥
「ここにいたいから。」
‥‥そう、はっきりと
シンプルに、洵は一言だけ言った。
そして、再び‥‥洵はペーパーバックに目を向ける‥‥。
‥‥ここにいたいから。
‥‥ストレートな言葉
でも、‥‥私の胸には‥‥すごく響いた。
知らなかった。そんなこと思ってくれてたなんて‥
なんだか、嬉しいような‥‥恥ずかしいような‥
くすぐったい気分だった。
まるで、
“あなたの隣は居心地がいいんだ”
って、言われた気分‥‥。
それって、すごく幸せなことだ。
私は‥‥嫌がる洵の頭をぐりぐりと撫で、
照れ隠しに笑った。