短編 星降る夜にまた逢いましょう
病院
私が目を覚ましたのは病院のベッドだった。

胸に痛みがある。

グルグル巻きの包帯。


そうか、私は切られたんだ。

あの人は誰だろう。

何のために私を…



そういえばあの時の鈍い音はなんだったんだろう。


通り掛かった看護師にきいてみた。


「あぁあれね。何故かね。車が飛び交っているのに走り出したらしいのよ。男性だったんだけどね。亡くなったそうよ。自殺かしらね。」



え?まさか彼じゃないよね。


私を助けようとして…


ちがうよね?


事故にあった男性の服装の特徴を聞くと、その日彼の着ていた服装と一致した。



まさか…そんな…



私のために?



そう思うと涙がとまらなくなった。

苦しいよ。


胸が…


呼吸が出来なくなるほどに苦しいよ…。


きっと切られたからじゃないんだね。

こっちの痛みのほうがよっぽど痛いよ。人違いであってよ。


いやだよ。

せっかく仲良くなれたのに。


好きになれそうだったのに…。

< 14 / 15 >

この作品をシェア

pagetop