【短編】そんな、ある冬の帰り道。
「何、考えてたんすか?」
「や、今日の夜ごはん何かなーて」
「あとは?」
「明日、葵にCD返さなきゃなーて」
「うん、あとは?」
…ムカつく。
「なんだろうね?」
言ってやんない、絶対言ってやんない。
悔しい。
「もう少し、話していきません?」
余裕の笑みでそんなことを言うこいつに、あたしはただ頷くことしかできなくて
「もう一押しだな…」
小声でそんなことを呟くこいつに、胸がドキンと高鳴った。
そんな、ある冬の帰り道。