ゆびわ
両想い。
その言葉に思わず反応してしまった私に、朱鳥はクスッと笑った。

「由宇、中学ん時から雄大(ゆうだい)のこと好きだもんねー」

「ち、ちがっ」

「真っ赤になってるーかわいー」

雄大は、私の幼馴染み。
小中高と腐れ縁で、ずっと一緒に過ごしてきた。

「でもさー、あたしは雄大、てっきり北高行くかと思ってた。」

「‥うん。」

朱鳥は知らないけど、中学卒業した後すぐ、父と母が離婚した。

原因は些細なこと、と母は言っていたが、多分、無口で頑なな父に付いていけなくなったんだと思う。

元々、お見合い結婚だったらしいし。

忙しい父と新たに生活する事になった私が、寂しくないようにと、雄大は、同じ高校を選んでくれた。

「北高は陸上強いけど、推薦良いとこ無いからだって。」
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