旦那様は冷徹社長!?~政略結婚は恋の始まり~
 携帯を耳に当てたまま立ちすくむ。

 彼女の嘘だと思った。

 だって彼は今日私の誕生日を一緒にお祝いしようと言ってくれたもの……。

 ケーキ……楽しみにしてるって……言ったもの……。

 彼女の言うことは信じられない……でも……あれは確かに彼の声だった。

 こんな時間に彼女の家でシャワー浴びて泊まるなんて……子供じゃないんだからその先は私にだって分かる

 酔って私の誕生日を忘れてしまったんだろうか……。

 酔った勢いで彼女を抱きたくなったんだろうか……。

 一人楽しみにして舞い上がって……バカみたいじゃない――。

 携帯を持った腕をだらんと垂らすと、フラフラとキッチンからゴミ箱を持ってくる。

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