旦那様は冷徹社長!?~政略結婚は恋の始まり~
「だったら貴女は何もしないでください!ただ黙って見守ってて下さい!」

「そんな……」

 彼はそう言うと自分の部屋に入り、バン!とドアを閉めた。

 玄関で立ち尽くしたまま彼の部屋のドアを見つめる。

 ……なんで?

 私……彼を怒らすつもりなんて……なかったのに……。

 ただ……彼の役に立ちたかっただけなのに……。

 瞳が熱を持ち視界がグニャンと歪んだと思えば、頬を伝い流れる涙。

 口を右手で抑えながらボロボロ落ちる涙と一緒に廊下にペタンと座り込むと、声を殺して泣いた――。

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