旦那様は冷徹社長!?~政略結婚は恋の始まり~
「俺は貴女が欲しかったのではありません。貴女の後ろ楯が欲しかった」

「……後ろ楯」

 震える声で呟くように言うとフッと鼻で笑う彼。

 彼は本当にあの結婚式の彼なのか?

 こんなにも態度を豹変して、違う人ではないかと思わず疑いたくなる。

「野田グループは日本財閥でも唯一の優位性を持つ金融財閥。しかも君の姉はあの赤田財閥に嫁いでいる。赤田財閥は日本でも1つしかない旧家財閥でその権力は大きい」

 彼は中指をスラッとした鼻にかかる眼鏡に当て、私に鋭い視線を送ってきた。

「それが俺は欲しかった」
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