旦那様は冷徹社長!?~政略結婚は恋の始まり~
 暫く沈黙が続く――。

 それでも土下座をしたまま父の言葉を待った。

 暫くして、はぁとため息が聞こえた。

「顔をあげなさい……」

 威圧感のない、どこが優しい父の声にゆっくり体を起こす。

「一度も口答えせず我が儘を言わなかったお前が、初めて私達にお願いをしてくるなんてな」

 父の顔をどこか嬉しい様な寂しい様な……どちらとも言えない表情で私を見つめていた。

「しかも愛する男のために土下座までするとは……」

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