旦那様は冷徹社長!?~政略結婚は恋の始まり~
 私がそう言うと、ドアノブに手を掛け出て行こうとした彼が「あ、そうそう」と、何かを思い出したように私を振り返った。

 そんな彼の様子にきょとんとする。

「忘れ物ですか?」

「はい」 

 そう言うと、不意に彼の顔が近づいたと思ったら――。

 ――!!

 私の唇に彼の柔らかな唇が優しく重なった。

 思いもよらない出来事に目を見開いたまま固まってしまう……。

 唇がゆっくり離されると彼が悪戯っぽく笑った。

「これからは毎日行くときと帰った時にしますから忘れずに」

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