旦那様は冷徹社長!?~政略結婚は恋の始まり~
 泣いたまま眠ってしまった顔には涙の後が付いていた様だ。

 彼の右手が伸びて来たかと思うと、私の左頬に優しくそっと触れてきた。

 ドキッ!として思わず顔を背ける。

 「……実家が恋しくて泣いてました」

 背けたまま俯いてそう言うと、彼は伸ばしていた手をゆっくり戻した。

「今日来たばかりなのにもうホームシックですか」

 彼は眼鏡を直しながらクスっと笑う。

「直ぐに夕飯作ります」

「いえ。瑞希さんも今日はお疲れでしょう。何か頼みましょう」

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