旦那様は冷徹社長!?~政略結婚は恋の始まり~
 コンコンとドアを叩く音がして、スーツを着た若い男性が入ってきた。

「失礼します。この前頼まれました書類が揃いました」

「ああ。ありがとう」

 彼はパソコンから目を離さず手を伸ばし書類を受け取る。

 男性はドアの前まで行くと「失礼します」と軽く頭を下げ出ていこうとした時、不意に私と目があった。

 私を見た男性が驚いた顔をして固まった。

「もしかして……野田?」

「え?」

 恐る恐る聞いてきた彼をコーヒーカップを持ったまま見つめる。

「……もしかして、沖(おき)君?」

「そう!おれおれ!懐かしいなー」

 顔をくしゃっとさせ人懐っこい笑顔を見せる彼は大学時代の友人。

 まさか彼の会社で働いてたなんて。

「すっかり変わっててわからなかったわ」

 コーヒーカップを置いて立ち上がると沖君の側へ行く。

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