旦那様は冷徹社長!?~政略結婚は恋の始まり~
 膝に置いた鞄の紐をギュッと握りしめた。

「私は沖君を信じてましたから」

 俯いてそう言うと、暫くして彼からため息が聞こえた。

「降りてください」

 え……?

 恐る恐る彼を見ると、ハンドルに寄りかかり、こっちを蔑んだ目で見ている。

「すいませんが歩いて帰ってください」

 ドクン――。

 胸を拳で叩かれたような鈍い痛みを感じる。

「あの……私……何かいけないこと言いました?」

 彼を見れなくて握り締めた鞄の紐を見つめる

「……いえ何も。暫くは貴女と一緒に居たくないだけです」
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