旦那様は冷徹社長!?~政略結婚は恋の始まり~
 なんで……急に……。

 ゆっくり彼に顔を向けるとその顔には苛立ちが見える。

 早く降りろと言わんばかりの顔に胸が傷んだ。

 ゆっくり助手席のドアを開け、車を降りると彼は車を発進させ帰って行った。

 何故怒らせてしまったんだろう……。

 男の人の気持ちも分からず偉そうな事言ってしまったからだろうか……。

 とぼとぼと歩きながらマンションへ向かう。

 瞳に溜まった涙が溢れ落ちそうになるのを必死に堪える。

 時折立ち止まりゴシゴシと腕で涙を拭いた。

 でも止めどなく溢れてくる涙を堪える事が出来ず、ポロポロと頬を伝い流れ落ちていった。

< 65 / 297 >

この作品をシェア

pagetop