旦那様は冷徹社長!?～政略結婚は恋の始まり～

　慌てて携帯を拾おうとした時、部屋の中からドタドタと走ってくる音が聞こえ玄関のドアが勢いよく開いた。

　驚いて玄関を見ると、酷く慌てた彼が座っている私に気づく。その顔は複雑な表情だが、どこかホッとしたようにも見えた。

　「瑞希さん……ずぶ濡れじゃないですか」

　私のそばへ来るとそっと手を取りゆっくり私を立たせる。
　
「こんなに冷たくなって……すいません」

　私の手を優しく握りしめると、初めて見る彼の切ない表情。

「とりあえず早く中へ。お風呂で温まってください」

　私の手を引き中へ入ろうとするが、動かない私を彼が不思議に見つめる。

「ごめんなさい……私、怒らせるような事言ってしまって……でも何がいけなかったのかわからなくて……」

　治まっていた涙がまたポロポロ落ちる。