旦那様は冷徹社長!?~政略結婚は恋の始まり~
 頬を流れる涙を彼が長い指でそっと拭う。

「貴女は何も悪くありません……俺が間違ってました」

 彼を見上げると少し困った顔をしていたが、私を見つめるその瞳は冷たさはなく優しかった。

「早く入りましょう。風邪引きます」

「……はい」

 彼に手を引かれ部屋へ入った。

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 お風呂から出ると彼が温かいコーヒーを入れてくれた。

「温まりましたか?」

「はい……」

 マグカップを両手で持ちコーヒーを飲む。

 私の腕が彼の腕に当たる程近くに、彼が座りコーヒーを飲む私をじっと見つめている。

 すると私の顔にかかる髪をそっと彼の長い指で耳にかけられ、ドキンと心臓が跳ねる。

「あの……聞いてもいいですか?」

 両手でマグカップを持ち、立ち上る香ばしい香りを見つめながら彼に尋ねた。

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