旦那様は冷徹社長!?~政略結婚は恋の始まり~
 彼の横顔は段々と険しくなっていく。

「そこに三田井グループが漬け込んできました。小さいながらに幾つもの功績を残していく鈴木グループが気に入らなかったのでしょう。三田井は鈴木グループを目の敵にしてましたから。しかし経営に困った父があっさり統合に頷いてしまいました。既に鈴木グループの幾つかの会社は三田井の名に変えさせられています。このままでは鈴木グループ全てが吸収されなくなってしまう……」

 ハンドルを握る手に力が入っているのか、ギりっという音が聞こえてきた。

「父も兄達も目先の利益ばかりを求めて三田井に完全に洗脳されてます。……お祖父さんが命を掛けて守ってきた鈴木グループを潰すわけには行かない。俺が……いや、俺だけでも、お祖父さんの思いを守らなくては……」

「……」

 衝撃だった――。

 彼は今まで一人で闘って来たのだろうか……。

 祖父の思いを守るために、家族の中でたった一人で――。
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