私と彼とダビデの関係
ご利益?
ダビデ様…
私には密かに想う彼がいるのです。
なんてね、ダビデに言っても……
彼の名は 富来 隼世 (とぎ はやせ )くん。
私の名は 伊原 花帆 (いはら かほ)。
高校二年の私。銀杏がキレイな黄色を彩る季節に私は隼世くんに毎日 恋してる。
私は特に特徴もないどこにでもいる普通の女子高生。
隼世くんは一見ヤンキーっぽいけど、少々 寡黙で友達とワイワイ騒ぐイメージのない一匹狼タイプ。
優しいオーラを出さない、バリヤーがあるように特定の人だけが集まったりする。
そして私だけかもしれないが、隼世くんの笑った顔を見た事がないのです。
これが私の好きな人。
放課後、日直の私は美術教師の三島先生に頼まれて教室の後片付けをしていた。
「 なんで私一人なのよっ」
ブツブツと文句を口にしながら順に片付けていくが、窓際にある机を拭いているとき、視界が影に包まれた。
ん? なに…
「 なんだ、ダビデ… こんな様をつけるような彼だったら 会話ないなぁ でも… 掃除の邪魔するならチューしちゃうよ!なーんて… いや、石膏にチューはダメよ、人間じゃないとね!」
私はダビデ像を相手に話していると、ふいにどこからか 微かに私以外の声らしきものが聞こえた。
「 ふ… 」
え? 今…
「 誰? …まさか、ダビデ?」
そんなわけないけど、いったい…
「 あんた、バカだな 」
「 だ、だだ誰!?」
教室のドアにもたれるようにして立っている隼世くんがいた。
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