幸せになるために
送信し、そのままの姿勢で待っていると、ほどなくして再びメールが届いた。
【了解です。それではまた】
画面に向かって頷きながら、自分も今度は【うん。またね】と短文を返し、とりあえずケータイをポッケに仕舞った。
おそらく、吾妻さんは今からさっそく創作活動に勤しむのだろうから、邪魔しちゃ悪いもんね。
「さてと、何にしようかな~」
陽気に声を発しながら、オレは改めて扉の中を覗き込む。
一番手前にあった味噌ラーメンを手に取ろうとして、『いやいや、昨日とはまるっきり違うメニューの方が良いよな』と思い直し、奥にあった、お湯で温めるだけの麻婆豆腐の袋をピックアップした。
冷凍してあるご飯を温めて上にかければ、麻婆丼の出来上がり。
そのまま勢い良く立ち上がると、まずは鍋で湯を沸かすべく、オレは軽やかなステップで流し台へと移動したのだった。
*****
何度経験しても、この返事を待っている間というのは、何とも言えない緊張感が沸き起こって来る。
別に命に関わるような問題ではないんだけど、自分の司書としての、児童書コーナーチーフとしての力量が評価される瞬間であり……。
「はい。じゃあ、これでお願いします」
相手の女性が満足そうに頷きながら開いていた本を閉じ、目の前のワゴンに戻した所で思わず胸を撫で下ろす。
「どれも楽しそうな本ばかり。きっと子ども達も喜びます」
「お気に召していただけたようで、良かったです」
「では、貸出処理してリストをお出ししますので、しばらくお待ち下さいね」
オレと女性の傍らに控えていた渡辺さんが、そう断りを入れてから本の乗ったワゴンをガラガラと端末機の前まで引っ張って行くと、さっそく貸出処理を始めた。
ピッピッという、ハンディスキャナーがバーコードを読み取る音をBGMに、女性が話を再開する。
「この時期やっぱり、同じような依頼が舞い込むんじゃないですか?」
「そうですね。多くの方からご予約いただいてます」
「大変ですね~。まぁ、私達としては大助かりなんですけど」
「いえいえ。その為の図書館、団体様貸出なんですから、お気になさらずにどんどん利用して下さい」
オレのその返答に、目の前の女性…近所の保育園の保育士さんは、安心したようにとびっきりの笑顔を向けて来た。
【了解です。それではまた】
画面に向かって頷きながら、自分も今度は【うん。またね】と短文を返し、とりあえずケータイをポッケに仕舞った。
おそらく、吾妻さんは今からさっそく創作活動に勤しむのだろうから、邪魔しちゃ悪いもんね。
「さてと、何にしようかな~」
陽気に声を発しながら、オレは改めて扉の中を覗き込む。
一番手前にあった味噌ラーメンを手に取ろうとして、『いやいや、昨日とはまるっきり違うメニューの方が良いよな』と思い直し、奥にあった、お湯で温めるだけの麻婆豆腐の袋をピックアップした。
冷凍してあるご飯を温めて上にかければ、麻婆丼の出来上がり。
そのまま勢い良く立ち上がると、まずは鍋で湯を沸かすべく、オレは軽やかなステップで流し台へと移動したのだった。
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何度経験しても、この返事を待っている間というのは、何とも言えない緊張感が沸き起こって来る。
別に命に関わるような問題ではないんだけど、自分の司書としての、児童書コーナーチーフとしての力量が評価される瞬間であり……。
「はい。じゃあ、これでお願いします」
相手の女性が満足そうに頷きながら開いていた本を閉じ、目の前のワゴンに戻した所で思わず胸を撫で下ろす。
「どれも楽しそうな本ばかり。きっと子ども達も喜びます」
「お気に召していただけたようで、良かったです」
「では、貸出処理してリストをお出ししますので、しばらくお待ち下さいね」
オレと女性の傍らに控えていた渡辺さんが、そう断りを入れてから本の乗ったワゴンをガラガラと端末機の前まで引っ張って行くと、さっそく貸出処理を始めた。
ピッピッという、ハンディスキャナーがバーコードを読み取る音をBGMに、女性が話を再開する。
「この時期やっぱり、同じような依頼が舞い込むんじゃないですか?」
「そうですね。多くの方からご予約いただいてます」
「大変ですね~。まぁ、私達としては大助かりなんですけど」
「いえいえ。その為の図書館、団体様貸出なんですから、お気になさらずにどんどん利用して下さい」
オレのその返答に、目の前の女性…近所の保育園の保育士さんは、安心したようにとびっきりの笑顔を向けて来た。