幸せになるために
ただ、その間、相手方をほったらかしにしておく訳にはいかない。
なので団体貸出にはスタッフが二人必要なのであった。
渡辺さんの後に続くようにワゴンを押しながら書庫を出て、彼女とは反対方向に進み、すぐ左手にある扉を開けて館外へと出る。
一般客ではない来館者のための駐車場がすぐ目の前にあり、団体さんにもそこに停めてもらう決まりなのだ。
「こちらの車でよろしいですか?」
「はい。あ、今トランク開けますね」
赤のボディーの、可愛らしい軽自動車を右手で示しながら問い掛けると、保育士さんは手にしていたバッグから鍵を取り出しつつ返答した。
そして自分の愛車に接近し、トランクを開けると、中に積んであったプラスチックの箱を指差しながら「すみません、こちらに…」と遠慮がちに言葉を発する。
「では、失礼します」
ワゴンをトランクギリギリの位置まで寄せて、その上の本をプラスチックの箱へとせっせと移しかえて行った。
もちろん、保育士さんもただ見ているのではなく、オレの隣で同じ動きをしている。
団体貸出利用者へ事前に渡してある書面に「貸出の際、本を運搬する容器は各自でご用意下さい」「容器への本の移しかえはスタッフと共同でお願いいたします」と書いてあるのだ。
すぐに積み込み作業は終了し、保育士さんがトランクを閉め、お互いホッと一息吐いた所で渡辺さんがリストを手に現れた。
「お待たせいたしました。こちら貸出リストと、お預かりしておりました利用者様カードでございます」
「ありがとうございます」
保育士さんは笑顔でそれを受け取ると「では、年末年始のお休み前にまた返却にお伺いしますね」と言いながら運転席へと向かった。
ドアを開け、中に乗り込み、シートベルトを体の前に渡しつつエンジンをかける。
「お世話さまでした」
窓を開け、近くで見守っていたオレ達に改めて挨拶。
「こちらこそ。ご利用ありがとうございます」
「お気をつけて」
オレと渡辺さんの声にペコリと頭を下げて応えると、保育士さんは窓を閉め、ゆっくりと車をスタートさせた。
「まずは一件目、終了ですね」
書庫へと戻る道すがら、渡辺さんはそう言葉を発した。
「今日だけで四件ですもんねー。まぁ、午後は私達の担当じゃないけど」
なので団体貸出にはスタッフが二人必要なのであった。
渡辺さんの後に続くようにワゴンを押しながら書庫を出て、彼女とは反対方向に進み、すぐ左手にある扉を開けて館外へと出る。
一般客ではない来館者のための駐車場がすぐ目の前にあり、団体さんにもそこに停めてもらう決まりなのだ。
「こちらの車でよろしいですか?」
「はい。あ、今トランク開けますね」
赤のボディーの、可愛らしい軽自動車を右手で示しながら問い掛けると、保育士さんは手にしていたバッグから鍵を取り出しつつ返答した。
そして自分の愛車に接近し、トランクを開けると、中に積んであったプラスチックの箱を指差しながら「すみません、こちらに…」と遠慮がちに言葉を発する。
「では、失礼します」
ワゴンをトランクギリギリの位置まで寄せて、その上の本をプラスチックの箱へとせっせと移しかえて行った。
もちろん、保育士さんもただ見ているのではなく、オレの隣で同じ動きをしている。
団体貸出利用者へ事前に渡してある書面に「貸出の際、本を運搬する容器は各自でご用意下さい」「容器への本の移しかえはスタッフと共同でお願いいたします」と書いてあるのだ。
すぐに積み込み作業は終了し、保育士さんがトランクを閉め、お互いホッと一息吐いた所で渡辺さんがリストを手に現れた。
「お待たせいたしました。こちら貸出リストと、お預かりしておりました利用者様カードでございます」
「ありがとうございます」
保育士さんは笑顔でそれを受け取ると「では、年末年始のお休み前にまた返却にお伺いしますね」と言いながら運転席へと向かった。
ドアを開け、中に乗り込み、シートベルトを体の前に渡しつつエンジンをかける。
「お世話さまでした」
窓を開け、近くで見守っていたオレ達に改めて挨拶。
「こちらこそ。ご利用ありがとうございます」
「お気をつけて」
オレと渡辺さんの声にペコリと頭を下げて応えると、保育士さんは窓を閉め、ゆっくりと車をスタートさせた。
「まずは一件目、終了ですね」
書庫へと戻る道すがら、渡辺さんはそう言葉を発した。
「今日だけで四件ですもんねー。まぁ、午後は私達の担当じゃないけど」