幸せになるために
田中と呼ばれた女性も立ち上がると、鈴木さんと共に部屋の隅まで歩を進め、頑丈そうな鍵付きの鉄庫の前に立つ。
そして扉を開き、中からノートを取り出した。
鉄庫内がどういうレイアウトになっているのかは扉が目隠しとなってこの位置からは確認できないけど、そこに管理している物件の鍵をまとめて収納してあるのだろう。
「え~と…。あ、これか」
鈴木さんはカチャカチャと音を立てながら鉄庫の中を何やら探っていたけど、目当ての物が見つかったようで、そう呟いたあと、田中さんにもそれを見せながら声を発した。
「〇〇町、アパートコダチ、103号室の鍵を14時20分に鈴木が持ち出し」
「はい」
その言葉を受けて、田中さんがノートにサラサラとペンを走らせる。
その作業が終わると、今度は鈴木さんは鉄庫の横の壁に設置してある、キーラックからもう一つ何かの鍵を手に取った。
「では、参りましょうか」
言いながら、足早に歩を進め、カウンターを回ってオレの側まで来る。
「さほど距離がある訳ではないのですが、車でご案内いたします」
「あ、はい。よろしくお願いします」
「行ってらっしゃい」
田中さんの声に送られ店の外に出ると、鈴木さんが、駐車場に停めてある社用車と思われる白の軽に近付き「どうぞ」と助手席のドアを開けてくれた。
「お邪魔します」
シートに腰掛けベルトを装着している間に、鈴木さんも運転席の方に回って乗り込んで来る。
ベルトをしつつエンジンをかけ、ほどなくして彼は車をスタートさせた。
先ほどの鈴木さんの言葉通り、店からアパートまでは近距離で、ほんの数分で到着する。
敷地内に駐車場はあったけどそこには停めず、鈴木さんは出られるくらいのスペースは確保しつつもアパートの階段付近の外壁に、ピタッと車体を沿わせるようにして停車させた。
いくら自分達の管理している物件とはいえ、住人の為に用意されている駐車場を勝手に利用したりはできないようだ。
車から降り、鈴木さんの後に続いて建物の北側に回り、一番奥に位置する部屋の玄関前まで移動する。
「……大丈夫ですか?」
彼が鍵を取り出し、鍵穴に差し込もうとしたけど、なかなか目標が定まらず、何度もカチッカチッと空振りしているので思わず声をかけてしまった。
そして扉を開き、中からノートを取り出した。
鉄庫内がどういうレイアウトになっているのかは扉が目隠しとなってこの位置からは確認できないけど、そこに管理している物件の鍵をまとめて収納してあるのだろう。
「え~と…。あ、これか」
鈴木さんはカチャカチャと音を立てながら鉄庫の中を何やら探っていたけど、目当ての物が見つかったようで、そう呟いたあと、田中さんにもそれを見せながら声を発した。
「〇〇町、アパートコダチ、103号室の鍵を14時20分に鈴木が持ち出し」
「はい」
その言葉を受けて、田中さんがノートにサラサラとペンを走らせる。
その作業が終わると、今度は鈴木さんは鉄庫の横の壁に設置してある、キーラックからもう一つ何かの鍵を手に取った。
「では、参りましょうか」
言いながら、足早に歩を進め、カウンターを回ってオレの側まで来る。
「さほど距離がある訳ではないのですが、車でご案内いたします」
「あ、はい。よろしくお願いします」
「行ってらっしゃい」
田中さんの声に送られ店の外に出ると、鈴木さんが、駐車場に停めてある社用車と思われる白の軽に近付き「どうぞ」と助手席のドアを開けてくれた。
「お邪魔します」
シートに腰掛けベルトを装着している間に、鈴木さんも運転席の方に回って乗り込んで来る。
ベルトをしつつエンジンをかけ、ほどなくして彼は車をスタートさせた。
先ほどの鈴木さんの言葉通り、店からアパートまでは近距離で、ほんの数分で到着する。
敷地内に駐車場はあったけどそこには停めず、鈴木さんは出られるくらいのスペースは確保しつつもアパートの階段付近の外壁に、ピタッと車体を沿わせるようにして停車させた。
いくら自分達の管理している物件とはいえ、住人の為に用意されている駐車場を勝手に利用したりはできないようだ。
車から降り、鈴木さんの後に続いて建物の北側に回り、一番奥に位置する部屋の玄関前まで移動する。
「……大丈夫ですか?」
彼が鍵を取り出し、鍵穴に差し込もうとしたけど、なかなか目標が定まらず、何度もカチッカチッと空振りしているので思わず声をかけてしまった。