幸せになるために
そう言いながら、オレは自分の席に戻り、吾妻さんが動く前にさっさとカップを手にして口に運んだ。
「ん、まだそんなに冷めてないよ。おいしー」
「…そうですか?」
「うん。あ、こっちもいただきます」
そして中央に置かれているお菓子に手を伸ばす。
一つ一つ透明のビニールで包装されている四角い焼き菓子で、パッと見、プレーンとマーブルとチョコ味と抹茶味と思われる色合いの物があった。
まずはプレーンから食してみる。
「んお~。すっごく美味しいっ。いかにも『高級店の、贈り物に喜ばれるスイーツ』って感じ!」
「ホントですか?」
「うん、マジマジ。あ、もう一個もらっても良い?」
「一個と言わず、いくらでも召し上がって下さい」
吾妻さんは楽しそうに笑いながら、お菓子の乗った皿をオレの方に押し出して来た。
「あ、いや。あんまり調子こいて食べると、ご飯が入らなくなっちゃうから…」
とりあえず、夕飯にありつくまでの繋ぎとしていただこうかなと。
「ああ、比企さんはちゃんと、食事でお腹を満たすタイプなんですね」
「うん」
「じゃあ、お土産として持ち帰って下さい。後でこれ、袋に詰めてお渡ししますから」
「え?こ、ここにあるの全部?」
それぞれの味が2個ずつ用意されていて、今オレが1個手に持っているので、皿には7個残っている。
「はい」
「え~。良いよそんな気を使ってくれなくても。吾妻さんの分がなくなっちゃうじゃん」
「いやいや、これでもまだ半分以下なんですよ。全部で20個も入ってるんですから」
吾妻さんは苦笑しながら解説した。
「有難い事なんですけど、一人暮らしの独身男性が2週間の賞味期限内に片付けるのはなかなか厳しい量ですよね。しかも勤め人じゃないんだから、同僚にお裾分け、って訳にもいかないし」
「ん~、まぁね…」
「実家に持って行くなんてのは問題外ですしね」
すっかり通常運転に戻ったと思っていた吾妻さんが再び、冷たい口調でそう言い放ったので、オレはお菓子にかじりついたまま固まってしまった。
「あ、すみません。つい…」
思わず口を突いて出てしまったようで、吾妻さんは自分自身戸惑いながら謝罪する。
「ん、まだそんなに冷めてないよ。おいしー」
「…そうですか?」
「うん。あ、こっちもいただきます」
そして中央に置かれているお菓子に手を伸ばす。
一つ一つ透明のビニールで包装されている四角い焼き菓子で、パッと見、プレーンとマーブルとチョコ味と抹茶味と思われる色合いの物があった。
まずはプレーンから食してみる。
「んお~。すっごく美味しいっ。いかにも『高級店の、贈り物に喜ばれるスイーツ』って感じ!」
「ホントですか?」
「うん、マジマジ。あ、もう一個もらっても良い?」
「一個と言わず、いくらでも召し上がって下さい」
吾妻さんは楽しそうに笑いながら、お菓子の乗った皿をオレの方に押し出して来た。
「あ、いや。あんまり調子こいて食べると、ご飯が入らなくなっちゃうから…」
とりあえず、夕飯にありつくまでの繋ぎとしていただこうかなと。
「ああ、比企さんはちゃんと、食事でお腹を満たすタイプなんですね」
「うん」
「じゃあ、お土産として持ち帰って下さい。後でこれ、袋に詰めてお渡ししますから」
「え?こ、ここにあるの全部?」
それぞれの味が2個ずつ用意されていて、今オレが1個手に持っているので、皿には7個残っている。
「はい」
「え~。良いよそんな気を使ってくれなくても。吾妻さんの分がなくなっちゃうじゃん」
「いやいや、これでもまだ半分以下なんですよ。全部で20個も入ってるんですから」
吾妻さんは苦笑しながら解説した。
「有難い事なんですけど、一人暮らしの独身男性が2週間の賞味期限内に片付けるのはなかなか厳しい量ですよね。しかも勤め人じゃないんだから、同僚にお裾分け、って訳にもいかないし」
「ん~、まぁね…」
「実家に持って行くなんてのは問題外ですしね」
すっかり通常運転に戻ったと思っていた吾妻さんが再び、冷たい口調でそう言い放ったので、オレはお菓子にかじりついたまま固まってしまった。
「あ、すみません。つい…」
思わず口を突いて出てしまったようで、吾妻さんは自分自身戸惑いながら謝罪する。