幸せになるために
聖くんとコミュニケーションが取れるのは、きっとあと1日…。
そう考え、この上ない寂しさと切なさに押し潰されそうになったけれど、『いやいや、今からへこたれててどうする!』と自分自身を叱咤した。
明るく楽しいお誕生日会にして、気持ち良くあの子を送り出してやらなくちゃいけないんだから。
そこに至るまでに、徐々にモチベーションを上げて行かなければ。
それにはまず、日常生活の中の自分がやるべき事を、きちんとこなして行く事が大切であると思う。
塞ぎこんでいる場合じゃないぞ。
オレはそう決意を新たにし、さっそく行動を開始した。
本棚に近付き、絵本を紙袋の中に戻すと、テーブルの上のハサミと荷造り紐を手にしてキッチンへと移動し、所定の場所に片付ける。
そこでふと、喉の渇きを感じたので、冷蔵庫から麦茶を取り出し、グラスに注いだ。
「あ、そうだ。ついでにおやつの時間にしちゃおうかな…」
呟きながら、焼き菓子が入った袋を手にダイニングテーブルまで移動した所で、昨日からずっとそこに置きっぱなしにしておいたケータイが震える。
「あれ?」
袋とコップを急いで置いてケータイを手に取り、ディスプレイの表示を見た瞬間、思わず声が出た。
「…はい」
『あ、たすくか?』
電話の相手は兄ちゃんだった。
『今、話せるか?』
「うん。オレは休みだから良いけど、兄ちゃんの方こそ大丈夫なの?仕事は?」
『3時の休憩中だよ。何だかすげーハラ減っちゃってさ、たこ焼き食ってるんだ』
遅ればせながら気付いたけれど、確かに兄ちゃんは口に食物が入っている事を証明するような、くぐもった声で応答している。
兄ちゃん達が勤務する会計事務所は10時と15時に、15分間の休憩時間を設けている。
内勤の女性は毎日同じ時間にお茶しているようだけれど、外回りの多い男性陣はそれは中々難しい。
なので臨機応変に、大体その時間を目安として、自分のタイミングで休んで良い事になっているのだ。
訪問先でお茶とお菓子をご馳走になった場合は、それを休憩と考えて、改めて休んだりはしないようだけれど。
また、日によってはその時間帯事務所に戻れる事もあるので、当然そこでのティータイム。
そう考え、この上ない寂しさと切なさに押し潰されそうになったけれど、『いやいや、今からへこたれててどうする!』と自分自身を叱咤した。
明るく楽しいお誕生日会にして、気持ち良くあの子を送り出してやらなくちゃいけないんだから。
そこに至るまでに、徐々にモチベーションを上げて行かなければ。
それにはまず、日常生活の中の自分がやるべき事を、きちんとこなして行く事が大切であると思う。
塞ぎこんでいる場合じゃないぞ。
オレはそう決意を新たにし、さっそく行動を開始した。
本棚に近付き、絵本を紙袋の中に戻すと、テーブルの上のハサミと荷造り紐を手にしてキッチンへと移動し、所定の場所に片付ける。
そこでふと、喉の渇きを感じたので、冷蔵庫から麦茶を取り出し、グラスに注いだ。
「あ、そうだ。ついでにおやつの時間にしちゃおうかな…」
呟きながら、焼き菓子が入った袋を手にダイニングテーブルまで移動した所で、昨日からずっとそこに置きっぱなしにしておいたケータイが震える。
「あれ?」
袋とコップを急いで置いてケータイを手に取り、ディスプレイの表示を見た瞬間、思わず声が出た。
「…はい」
『あ、たすくか?』
電話の相手は兄ちゃんだった。
『今、話せるか?』
「うん。オレは休みだから良いけど、兄ちゃんの方こそ大丈夫なの?仕事は?」
『3時の休憩中だよ。何だかすげーハラ減っちゃってさ、たこ焼き食ってるんだ』
遅ればせながら気付いたけれど、確かに兄ちゃんは口に食物が入っている事を証明するような、くぐもった声で応答している。
兄ちゃん達が勤務する会計事務所は10時と15時に、15分間の休憩時間を設けている。
内勤の女性は毎日同じ時間にお茶しているようだけれど、外回りの多い男性陣はそれは中々難しい。
なので臨機応変に、大体その時間を目安として、自分のタイミングで休んで良い事になっているのだ。
訪問先でお茶とお菓子をご馳走になった場合は、それを休憩と考えて、改めて休んだりはしないようだけれど。
また、日によってはその時間帯事務所に戻れる事もあるので、当然そこでのティータイム。