幸せになるために
緊張から開放された吾妻さんは、数分前の聖くんのように深く息を吐き出した。
そして、今度は三角の形になったケーキの下に包丁を差し込み、イチゴを左手の人差し指と親指で押さえて倒れないようにしながら、先ほどサンタさん達を避難させたお皿に乗せる。
「はい。これは聖くんの分ね」
「うわぁ~!ありがとう~!」
すべてのオプションが勢揃いの、スペシャルなケーキを配られて、聖くんは大はしゃぎしながら言葉を繋いだ。
「サンタさん、大きな袋持ってるね~!トナカイさんといっしょに、プレゼントいっぱい配るんだねー」
「そうだよ。今日はサンタさん、大忙しの日だから」
「ちゃんと夜のうちに配り終わるのかなぁ?」
「大丈夫だよ。サンタさんはプレゼント運びのプロだもん」
「もちろんトナカイもね」
「そっか~」
オレ達とそんな会話を交わしながら、吾妻さんはせっせと残りのケーキも皿に乗せ、自分とオレの席の前に置いた。
「あ、ありがとう」
「いえいえ。どういたしまして」
そう答えながら吾妻さんは立ち上がり、デコレーションケーキが乗っていたアルミの皿を手に取ると、包丁と共にダイニングテーブルへと移動させる。
テーブルを広く使えるように、なおかつ聖くんが包丁に触れたりしないように、素早く片付けたのだろう。
「それじゃあ、食べましょうか」
「……うん」
自分の席に戻った吾妻さんの言葉を合図に、オレ達は紙ナプキンの上のフォークを手に取った。
「わーい!いただきまーす!」
思わずそこで動きが止まってしまったオレと吾妻さんの心情には全く気付かずに、聖くんは嬉々としてケーキの先端部分をフォークで削り取ると、パクっと口に入れる。
「ん~!甘くておいし~い!」
一口食べたらもう止まらないようで、聖くんはせっせと手を動かし、次から次へとケーキを口の中へと運んだ。
「あ、そんなに急いで食べたら危ないよ~」
オレは慌てて聖くんをたしなめる。
「ちゃんと、モグモグしてから飲み込んでね?」
「うん」
聖くんは素直にコクリ、と頷くと、それまでよりペースダウンしてケーキを食し始めた。
「…俺も食べようっと」
言いながら、吾妻さんもフォークを動かし、ケーキを口に入れる。
「ん、これは美味い」
「ね~?すっごくおいしいよね~?」
そして、今度は三角の形になったケーキの下に包丁を差し込み、イチゴを左手の人差し指と親指で押さえて倒れないようにしながら、先ほどサンタさん達を避難させたお皿に乗せる。
「はい。これは聖くんの分ね」
「うわぁ~!ありがとう~!」
すべてのオプションが勢揃いの、スペシャルなケーキを配られて、聖くんは大はしゃぎしながら言葉を繋いだ。
「サンタさん、大きな袋持ってるね~!トナカイさんといっしょに、プレゼントいっぱい配るんだねー」
「そうだよ。今日はサンタさん、大忙しの日だから」
「ちゃんと夜のうちに配り終わるのかなぁ?」
「大丈夫だよ。サンタさんはプレゼント運びのプロだもん」
「もちろんトナカイもね」
「そっか~」
オレ達とそんな会話を交わしながら、吾妻さんはせっせと残りのケーキも皿に乗せ、自分とオレの席の前に置いた。
「あ、ありがとう」
「いえいえ。どういたしまして」
そう答えながら吾妻さんは立ち上がり、デコレーションケーキが乗っていたアルミの皿を手に取ると、包丁と共にダイニングテーブルへと移動させる。
テーブルを広く使えるように、なおかつ聖くんが包丁に触れたりしないように、素早く片付けたのだろう。
「それじゃあ、食べましょうか」
「……うん」
自分の席に戻った吾妻さんの言葉を合図に、オレ達は紙ナプキンの上のフォークを手に取った。
「わーい!いただきまーす!」
思わずそこで動きが止まってしまったオレと吾妻さんの心情には全く気付かずに、聖くんは嬉々としてケーキの先端部分をフォークで削り取ると、パクっと口に入れる。
「ん~!甘くておいし~い!」
一口食べたらもう止まらないようで、聖くんはせっせと手を動かし、次から次へとケーキを口の中へと運んだ。
「あ、そんなに急いで食べたら危ないよ~」
オレは慌てて聖くんをたしなめる。
「ちゃんと、モグモグしてから飲み込んでね?」
「うん」
聖くんは素直にコクリ、と頷くと、それまでよりペースダウンしてケーキを食し始めた。
「…俺も食べようっと」
言いながら、吾妻さんもフォークを動かし、ケーキを口に入れる。
「ん、これは美味い」
「ね~?すっごくおいしいよね~?」