幸せになるために
お昼頃、前々から約束を交わしていた友達数人とカラオケで落ち合って、近況報告しあいつつ食事して合間合間に熱唱して数時間盛り上がり、翌日に備えて夕方には解散し、そして19時に実家を後にして20時頃アパートに帰宅した。

なんという怒濤の6日間だったのだろう。

ちなみに兄ちゃん達は4日に帰国だったので、オレとはすれ違いであった。

5日にまたオレは休みだったんだけれど、兄ちゃん達は長旅から帰って来て疲れてるだろうし、オレ自身もその日は1日アパートで体を休めておきたかったので、ゆっくり語らうのは正月明け、お互いの生活が落ち着いてからにしようと、あらかじめ話はついていた。

そして1月の中旬に入った本日土曜日、本格的に比企家で同居する事になった茉莉亜さんの歓迎会を兼ねた、家族水入らずの食事会が開催されたのであった。

年が明けたと思ったら、瞬く間に10日以上経過していたという訳だ。


「ちょうど良かったよ。あっちから送った荷物が、昨日やっと届いてさ」


一旦姿を消していた兄ちゃんがそう言いながら、大きな紙袋を提げて、皆が勢揃いの居間へと戻って来た。


「3週間近くかかったもんなー。無事に手元に来るまでドキドキだったよ」

「国際郵便て結構時間を要するんだね」

「ホントだよな。てワケで、これ、たすくの分のお土産な」

「え。うそ、これ全部?」


オレは驚きながら袋を受け取り、さっそく中身を畳の上に取り出してみる。

インスタントコーヒーと箱に入ったチョコレート、ソーセージの詰め合わせ、色鮮やかな幾何学模様のタオルとタオルハンカチなど、次から次へと品物が出て来る。


「そのタオルは本来女性に人気のあるブランドらしいんだけどさ、ちゃんと紳士向けのも売ってたから、家族全員、色柄違いであれこれ買って来たんだ」

「へぇ~」

「んで、たすくにはそのデザインが似合うかな~と思ってチョイスして来たってワケ」

「すっごく手触りが良くて、いかにも高級品て感じだよね。何か、使うのもったいないや」

「いやいや、思いっきり使いまくってくれよ。タオルにとってもそれが本望だろうし」

「洗濯機でも洗えるくらい丈夫らしいから、安心して使って大丈夫よ」


手に取って、まじまじと眺めながら感想を述べるオレに向けて、兄ちゃんと母さんが笑いながら返答した。
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