幸せになるために
「…そう」
すると吾妻さんは若干潤んでしまった瞳を乾かすように素早く瞬きを繰り返しつつ、右斜め上方を見上げながら言葉を繋いだ。
「だけどそう思ったのと同時に、やっぱり俺は一生、一人で生きて行く運命なんだろうな~って、再認識したんですけどね」
「その事なんだけど」
オレは間髪入れず反論する。
「それに関しては異議を唱えるな。吾妻さんが一生一人って事はないよ。だって、オレがずっと周りをウロチョロしてるハズだから」
「え…?」
「生涯傍に居る人が、異性じゃなくちゃいけない決まりなんてないでしょ?書類上の繋がりがなくても、法的に認めてもらえなくても、好きだからただ一緒にいる、それで良いんじゃないのかな」
オレは内心、とてもびっくりしていた。
「だからオレは一生、吾妻さんから離れるつもりはないから」
いつもならすぐにてんやわんやしてしまうのに、こんなに冷静にきっぱりはっきり、自己主張する事ができるなんて。
一方、まるで立場が逆転してしまったように、再びフリーズしてオレをガン見していた吾妻さんは、今度はわりあいすぐに自分を取り戻した。
「い、いや…、何か、俺が言っている事とはまた意味合いが違うと思うんですけど…」
「ううん。違わないよ。同じだよ」
しどろもどろに言葉を発する吾妻さんに、オレはあっけらかんと答えつつ、カップを手に取りコーヒーを一口すすった。
「いや、だって、俺が言う一人というのは…」
解説を始めた吾妻さんだったが、しかし、すぐに言葉に詰まる。
「ん?」
「……何を言いたかったのかが、自分でも、良く分からなくなってしまいました」
眉尻を下げ、困ったように呟く吾妻さんのその姿がとても可愛らしくて、オレは盛大に吹き出した。
「だったら難しく考えなくて良いじゃん。ずっとオレ達、仲良く寄り添って行こうよ」
しかしそこで、今さらながらに肝心要な事に気が付く。
「あ。でも、吾妻さんが嫌なんだったら、もちろん無理強いはできないんだけど…」
「いや、それは絶対に無いです」
オレの発言に被せ気味に、吾妻さんは力強く宣言した。
「俺の方こそ、一生比企さんの傍から、離れるつもりはありませんから」
その告白を受け止めた瞬間、何ともいえない感情が、胸の奥から溢れ出して来た。
嬉しいのに、何故だか涙が零れそうになる。
正直自分自身、この胸の内を、理路整然と説明するのは難しい。
でも、そんな必要はないから。
好きだから離れない。
死が二人を分かつ瞬間まで、傍にいる。
自分がそうしたいからそうするんだ。
ただ、それだけの事だ。
すると吾妻さんは若干潤んでしまった瞳を乾かすように素早く瞬きを繰り返しつつ、右斜め上方を見上げながら言葉を繋いだ。
「だけどそう思ったのと同時に、やっぱり俺は一生、一人で生きて行く運命なんだろうな~って、再認識したんですけどね」
「その事なんだけど」
オレは間髪入れず反論する。
「それに関しては異議を唱えるな。吾妻さんが一生一人って事はないよ。だって、オレがずっと周りをウロチョロしてるハズだから」
「え…?」
「生涯傍に居る人が、異性じゃなくちゃいけない決まりなんてないでしょ?書類上の繋がりがなくても、法的に認めてもらえなくても、好きだからただ一緒にいる、それで良いんじゃないのかな」
オレは内心、とてもびっくりしていた。
「だからオレは一生、吾妻さんから離れるつもりはないから」
いつもならすぐにてんやわんやしてしまうのに、こんなに冷静にきっぱりはっきり、自己主張する事ができるなんて。
一方、まるで立場が逆転してしまったように、再びフリーズしてオレをガン見していた吾妻さんは、今度はわりあいすぐに自分を取り戻した。
「い、いや…、何か、俺が言っている事とはまた意味合いが違うと思うんですけど…」
「ううん。違わないよ。同じだよ」
しどろもどろに言葉を発する吾妻さんに、オレはあっけらかんと答えつつ、カップを手に取りコーヒーを一口すすった。
「いや、だって、俺が言う一人というのは…」
解説を始めた吾妻さんだったが、しかし、すぐに言葉に詰まる。
「ん?」
「……何を言いたかったのかが、自分でも、良く分からなくなってしまいました」
眉尻を下げ、困ったように呟く吾妻さんのその姿がとても可愛らしくて、オレは盛大に吹き出した。
「だったら難しく考えなくて良いじゃん。ずっとオレ達、仲良く寄り添って行こうよ」
しかしそこで、今さらながらに肝心要な事に気が付く。
「あ。でも、吾妻さんが嫌なんだったら、もちろん無理強いはできないんだけど…」
「いや、それは絶対に無いです」
オレの発言に被せ気味に、吾妻さんは力強く宣言した。
「俺の方こそ、一生比企さんの傍から、離れるつもりはありませんから」
その告白を受け止めた瞬間、何ともいえない感情が、胸の奥から溢れ出して来た。
嬉しいのに、何故だか涙が零れそうになる。
正直自分自身、この胸の内を、理路整然と説明するのは難しい。
でも、そんな必要はないから。
好きだから離れない。
死が二人を分かつ瞬間まで、傍にいる。
自分がそうしたいからそうするんだ。
ただ、それだけの事だ。