幸せになるために
そこで兄ちゃんは突然言葉を切り、ギョッとしたように問いかけて来た。
「って、な、何で泣いてんだよ?たすく!」
「…え?」
指摘を受けてようやく、自分の頬を濡らしているものに気が付く。
「あ…。な、何か、すごく感動しちゃって…」
オレは慌ててウーロン茶のグラスをテーブルに戻すと、シャツのポッケに入れておいたタオルハンカチを取り出し、涙を拭いた。
「そっか、男の子か…」
「…の、可能性が高いって話な。俺達は別に性別はどっちでも良いんだ」
オレの感情に呼応したように、兄ちゃんの瞳もウルウルと潤んで来た。
「うん、そうだよね。どっちでも良いよね」
これは偶然なんかじゃない。
「生まれて来る子が、男の子でも女の子でも」
あの子とのあの出逢い、奇跡の時間は、この未来へと繋がっていたんだ。
「きっと世界一優しくて、強い子になるよ。だって」
あの子の魂を継ぐ者だから。
そして……。
「兄ちゃんと茉莉亜さんの、愛の結晶だもん」
「な、何だよっ。照れるじゃねぇかー!」
兄ちゃんは思いっきりおどけてそう言いながら、目尻に浮かんだそれをおしぼりでささっとさりげなく吸い取った。
「また、君に逢えるんだ…」
だからオレが思わず発した小さな呟きは、兄ちゃんには聞こえていないだろう。
オレは心の中で続けた。
普段はお調子者だけど、いざという時にはとても頼りになるお父さんと、しっかり者のお母さんが、君のことをこれでもかってくらい、愛してくれるよ。
苦しい思いはさせない。
辛い目になんかあわせない。
決して不幸にしたりしないから。
お父さんもお母さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも、そして叔父さんであるこのオレも、全力で君のことを守ってみせる。
だから安心して生まれておいで。
夢と希望が満ち溢れている、素晴らしいこの世界に。
今度こそ
君が、幸せになるために。
「って、な、何で泣いてんだよ?たすく!」
「…え?」
指摘を受けてようやく、自分の頬を濡らしているものに気が付く。
「あ…。な、何か、すごく感動しちゃって…」
オレは慌ててウーロン茶のグラスをテーブルに戻すと、シャツのポッケに入れておいたタオルハンカチを取り出し、涙を拭いた。
「そっか、男の子か…」
「…の、可能性が高いって話な。俺達は別に性別はどっちでも良いんだ」
オレの感情に呼応したように、兄ちゃんの瞳もウルウルと潤んで来た。
「うん、そうだよね。どっちでも良いよね」
これは偶然なんかじゃない。
「生まれて来る子が、男の子でも女の子でも」
あの子とのあの出逢い、奇跡の時間は、この未来へと繋がっていたんだ。
「きっと世界一優しくて、強い子になるよ。だって」
あの子の魂を継ぐ者だから。
そして……。
「兄ちゃんと茉莉亜さんの、愛の結晶だもん」
「な、何だよっ。照れるじゃねぇかー!」
兄ちゃんは思いっきりおどけてそう言いながら、目尻に浮かんだそれをおしぼりでささっとさりげなく吸い取った。
「また、君に逢えるんだ…」
だからオレが思わず発した小さな呟きは、兄ちゃんには聞こえていないだろう。
オレは心の中で続けた。
普段はお調子者だけど、いざという時にはとても頼りになるお父さんと、しっかり者のお母さんが、君のことをこれでもかってくらい、愛してくれるよ。
苦しい思いはさせない。
辛い目になんかあわせない。
決して不幸にしたりしないから。
お父さんもお母さんも、おじいちゃんもおばあちゃんも、そして叔父さんであるこのオレも、全力で君のことを守ってみせる。
だから安心して生まれておいで。
夢と希望が満ち溢れている、素晴らしいこの世界に。
今度こそ
君が、幸せになるために。