幸せになるために
しかし栄養的には問題がなくても、レパートリーが少なすぎてずっとそればっかりってのはすぐに飽きが来そうだし、変化をつける為にレトルト食品やカップラーメンなんかを間に挟んだりしてるけど。

もともと実家にいる時から休日の昼は母さんを休ませる意味で、そういった食品やファストフードを食していた。

やっぱオレも一応まだまだ若者の部類だから、ジャンクなフードにも猛烈に心惹かれちゃったりするんだよね。

まぁ、これから徐々に作れる料理を増やして行くつもりではいるけどさ。

気軽に簡単に作れる(らしい)レシピが載ってる、初心者とか男性向けの料理本がたくさん出てるもんね。

幸い、そういった資料を探すのには最適な場所だから、この職場は。


「そっか。ちゃんとやってるのねー。偉いわー」


オレのその話を聞いて、佐藤さんは感心したように頷いた。

そして手にしていたコーヒーを一口飲んでから続ける。


「食事は何とか大丈夫みたいだけど、掃除や洗濯なんかはどうしてるの?」

「あ、そっちは料理よりも全然得意ですから。自分の部屋はもちろん、風呂やトイレを、休みの日に交代で掃除するのが我が家の男性陣のルールだったんですよ。それ以外の日は母に頑張ってもらって」

「へぇ~そうなんだ」

「洗濯機は全自動だからスイッチ一つで脱水まで完了ですしね。ただ、干すのがまだちょっと慣れてなくて、変なシワが付いちゃったりしますけど」


仕事柄カジュアルな服装だし、多少ヨレてても気にせず着ちゃうけどさ。


「あ~、やっぱり今の時代全自動よね…。他にレンジや冷蔵庫なんかも揃えたんでしょ?かなりのお値段になっちゃったんじゃない?」

「ん~。もともと激安の家電量販店で、『独り暮らしスタートセット』っていう、まとめて買えばさらに安くなるっていう商品を購入したんですよ。だからかなりお得ではあるハズなんですけど…」


お世辞にも高額とはいえない、コツコツと増やして来た貯金はだいぶ削られてしまったけどね。

それでも、この年まで実家暮らしさせてもらえてなかったらもっと貧乏だった訳だし。

ある程度蓄えが出来てから、心に余裕がある状態で一人立ちさせてくれた両親にはやっぱ感謝しなくちゃな。
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