幸せになるために
「でも、いつかは利用する機会があるかもしれませんので、その時はよろしくお願いします。あ、もちろん、お仕事の邪魔はしませんから」

「うんうん。市民の為の施設なんだから、オレの存在は気にせずに、好きな時に、好きなように利用してね」


笑顔でそう答えてから、今度こそおいとまするべく、オレは別れの挨拶を口にした。


「じゃあ、この辺で失礼します」


言いながら、玄関ドアを開ける。


「はい。お気をつけて」

「またね~」


笑みを浮かべたまま、手を振りつつ外に出て、静かにドアを開めた。

……そういえば。

有意義な一時を過ごせた事に大満足しながら歩き出した所で、ふと気付く。

ドサクサに紛れて、途中から、かなりタメ口の割合が多くなっちゃってたかも。

ちょっと馴れ馴れしかったかな。

自分の部屋の前までたどり着き、鍵を取り出す為にジーパンのポッケを探りながら、思わずウーム、と唸る。

しかし、すぐに気持ちの整理はついた。

……ま、別にいっか。
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