幸せになるために
まず、自分が働きたいと思った時に、ちょうどタイミング良く地元の図書館が司書を募集しているとは限らない。

というか、そんな幸運な事はほぼ皆無。

だからもし募集している自治体があれば、それが他都道府県でも、たとえ何百キロ離れていようとも、果敢に挑戦しに行く人が多数いる。

何しろ間口が狭いから、残念ながら不採用となる事の方が断然多いのだけれど、そこで諦めたりはしない。

今度は嘱託でも臨時でも良いから、とにかくどこか司書を募集している所は無いかと探しまくり、見つかれば応募しまくる。

そうして運良くどこかに採用されたとしても、それで安泰、という訳ではないんだよね、これがまた。

臨時の職員の任期はたいてい最長2年で、しかも一度採用されてしまった図書館には再度雇ってはもらえないので、契約が切れる頃にまた別の勤務先を求めて就職活動を始める事となる。

だったらオレのように最初から、運営を委託されている民間の会社に雇ってもらえば良いのでは?と考える人もいるかもしれないけれど、そういう自治体が、そして参入する会社が増えて来たのは実はここ数年の事なのだ。

その会社に採用される事自体がどっちみち狭き門であったし、それに自分が働きたいと思った時期に都合良く募集があるとは限らない、という点でも、結局同じ事であった。

オレがここに潜り込めたのは、たまたま運が良かったからに他ならない。

それに、この働き方もまた一生安泰という訳ではないんだよね。

民間委託であるからには当然、事前に入札を行う訳だけど、他社に負けてしまう可能性もなきにしもあらずで、そうしたら次年度から、オレ達は派遣されている場所で働けなくなってしまう。

まぁ、ウチの会社はこの業界では老舗で、契約する自治体は年々増えていっているし、もしそうなったとしても別の図書館に回してもらえるハズだけども。

不安定な立場である事に変わりはないんだよね。

そんなこんなで、やっぱりまずは正規職員の採用試験があるのならば挑戦してみたい、それがダメだったら嘱託、臨時でどこか受け入れてくれる所はないか探す、というのが(オレが見聞きして来た限りでは)図書館勤務希望者達の一般的な就活の流れだったのだ。

これからどうなって行くかは、オレにも掴めないけれど。
< 76 / 225 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop