わたしと彼の選挙活動~イケメンでちょっとS~
ジワリ、と
目の奥に熱いものが込み上げる。
唇を噛みしめると神林くんは少し困ったように笑い、近くのイスに腰を下ろし体を傾けるようにして顔を覗き込んできた。
「俺、生徒会長に向いてると思う?」
穏やかに、そう優しく問いかける神林くん。
「…神林くん以上に会長に相応しい人はいないよ…」
「どうしてそう思う?」
何で今更…
こんなやり取りをする意味が分からないよ。
もう選挙で決まったことなのに。
「…だって神林くんは頭いいし…、いつだって輪の中心にいるし…、
いつも笑顔で、みんなに優しくて…、とても魅力的な人、だから…」
ぽつりぽつりと今まで抱いてきた彼の印象を口にする。
この選挙活動を通じてさらに彼の魅力を知ってしまった。
もっともっと彼を大好きになってしまった。
…なってしまったところで、もう時間は戻らないのだけれど。
また、天と地の差に離れてしまうだけ…。
その寂しさを思うと耐えられなくなり、わたしはついに俯いてしまった。