フェティシズム
「いつも見てんのに絶対に視線を合わせない。俺を見ない。なんで?」
耳元で囁くように。
「俺が嫌い?」
「い、いえ」
嫌いって…ただいつもの何もかも見透かすような目が…怖い。
「ん?答えて」
いつの間にか彼の指は私の手の平を擦っている。
「あ、あのぅ、手」
「ん?」
「は、離して下さい」
「いや」
その言葉に思わず彼の方を向く。
彼の目は先程と同じように優しげで、思わず頬に熱が集まる。
「俺…本気なんだけど」
「えっ?」
本気って、何が?
「マジでお前を口説いてんだけど」
「く、口説くって」
冗談めかした言い方だけど…その瞳は真剣で熱い。
「お前が嫌いって言っても受け付けない」
「……」
その瞳に吸い寄せられる。
大嫌いな筈なのに…