フェティシズム


「先輩、お疲れっす」


「あ、お疲れさま。もう帰るの?」


「はい。先輩」


「うん?」


「真っ直ぐ帰るんですか?」


「あ、うん」


「暑いから飲みに行きませんか?あ、俺が奢りますんで」


「フフッ ありがとう。でも後輩君に奢られるのもねぇ。割り勘でね」


君は同じ部署で人懐っこくいつも笑顔でよく気のつく二年後輩君。


その笑顔が今は消えちょっとムッとしたような顔になり


「誘ったのは俺です。それにいくら後輩でも俺も男ですから」


「……」


私の一言がプライドを傷つけたかな。


「ごめん。うん、じゃあご馳走になります」


「はい」


またいつもの眩しい笑顔を私に向けた。


ドキッ!


そう、いつからか君の笑顔にときめくように…


その笑顔を私だけのものにしたいと欲張りなことを考えてる自分がいる。


「どうかしましたか?」


「ううん。早く行こう」


火照った顔を見られたくなくて足早に歩き出す。


「待って下さいよ」



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