フェティシズム
「もう帰ろうか?」
「先輩」
「うん?」
「俺は…後輩ですか?」
「えっ?」
「男ではありませんか?」
「……」
「『君』じゃなく名前を呼んでもらえませんか?」
「神崎君」
「だから『太一』って呼んで」
私の耳元で
「ね、奈緒さん」
びっくりして君を見るとあのいつもの笑顔は消え男の大人の顔で
「奈緒さんの声で俺を呼んで」
「た、太一」
「ん」
また私の好きな笑顔を向け
「その奈緒さんの顔、マジにヤバいから。俺以外に見せないで。いや、どんな表情も…俺だけ…の…」
言葉が途切れたかと思うと私の肩に頭を乗せて…
静かな寝息が…
フフッ
私が言いたいこと全て言われちゃった。
でも目覚めても覚えてるかな?
ま、いいや。
「太一 大好きだよ」
*Fin*