秘密のブライド
「申し訳ありません。えっと…縁談を受けた理由、でしたよね」
しばらくしてから漸く笑いがおさまってきたのか、彼女は最初と同じようなゆったりとした笑みを浮かべて言葉を発した。
彼女の言葉に少し恥ずかしそうに頬を掻く晴信。
そんな晴信の先程までとは違う表情と仕草に彼女は楽しそうに瞳を細める。
そしてゆっくりとその桜を乗せたような唇を動かした。
「私は女です。いずれはどこか知らぬ殿方のところに嫁ぐ身。その先が武家であろうと公家であろうと大した違いはありません」