秘密のブライド
まるで"お茶にでもしませんか?"とでもいうような軽い声色で発せられたその言葉に、一瞬空気が止まる。
もちろん晴信の動きも止まった。
「………は?」
「へ?」
「す、すまん。今なんて言ったんだ?」
「え、いや、ですから…側室にお迎えしてみては、と」
「そ、側室に、か?」
「え、えぇ」
私何か変なことでも言いましたか?と不思議そうにしているミツに、別の意味でポカンとしている晴信。
側室をもつということ。それは決して不自然なことではない。
寧ろ御家のためには至って当然のことだ。
しかしまさかそれを自分の正室から進言されるとは。