れぷりか
「………ヒロ…」
その名を口にする事も、もうなくなるだろう
美希が背中をおしてくれたのに
結局、何もできなかった。
なんだか、実感がわかない。
もう何もかも遅いのに…
「…咲希」
そんなふうに、私の名前を呼ぶ声だって、もう…
「っ!?」
「咲希」
体がビクリとはね、座っていた椅子が音をたてた。
幻聴…?…じゃない
はっきりと聞こえてきたその声に、一瞬で胸が締め付けられる。
あぁ…ダメだ…
やっぱり、忘れられるはずがない…
後ろからのそれに、私はゆっくりと振り返り立ち上がる。
「もう、会えないと思ってた…」
声が、震えてしまう。