れぷりか
母は、そんな私を見て
元々”咲希“なんていなかったかのように
ごくごく自然に“美希”である私を受け入れた。
そして、皮肉なことに
それまで母に合わせていた父は
美希が倒れてから初めて、私の名前を口にした。
「咲希‥許してくれ。」
さすがに驚いたのか
やっぱり、私が壊れたとでも思ったのかもしれない。
哀れむような顔をしてそう言った。
だけど
もう引き返す事なんてできなくて
「いんだよ、これで。」
私が言うと
父は泣きながら、何度も謝った。