れぷりか
* * * * * *
「咲希ちゃん…?」
勢いよくあけた病室のドアの向こうには、不思議そうに私を見つめる美希がいた。
「美希!」
「ちょと…もうー咲希ちゃん、重いよー」
私は自分が今どんな姿をしているのかも忘れて、美希に抱きついてしまい
美希はそんな私に少し驚きながら、笑って冗談ぽく答えた。
「…ごめんっ……」
美希の声が懐かしくて、嬉しくて…
思わず涙が溢れる。
ヒロは
私達の様子を見守るようにして、ただ静かにその場にたたずんでいた。
「咲希ちゃん、泣かないでー
私こそごめんだよ…だいぶ長い間寝ちゃってたみたいだもんね。」
そうして話す美希の笑顔は
変わらず、あの頃のままで
まるで
今までの事が、全て夢だったのではないかと思わせる。