れぷりか




* * * * *



「咲希ちゃん…私ね、ほんと何も覚えてないんだ。だから、気にしなくていいんだからね?」


病室で私が花の水を変えていると
不意に、美希が言った。


「‥‥何か、誰かに聞いた?」


「うん。あいかに……全部…」

その言葉に
心臓がトクンといちど大きく波うつ。


「そ…っか……ごめん…」


「もうだからっ、謝らなくていいんだって」

美希は少し困ったように笑った。
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