猫と真夜中の窓辺
さようなら
僕がいつか君よりもっと早く死んだとき
君なら名も知らない一匹の猫を
哀れんでくれるだろうか
くるはずないよと散々君にひどいことを言ったこの僕に
君は気づいてくれるだろうか
もうどれだけたったのだろう
時間の長さなんか関係ないんだけど
それでも君と僕は年を幾重にも重ねてしまったのだろう
君の待っている人は
今幸せだろうか
笑っているだろうか
君が待っているとも知らずに
それとももう先に行ってしまったのだろうか
本当のことはわからないけど
君のその待つ人は決してさびしい思いなど
していないんじゃないかな
果てしない海のかなたに視線をめぐらしてみる
海の向こうにいたって関係ないさ
君は窓辺にいる
僕は君を見上げている
いつか星になったら今度は僕が
君を待っているよ
君は知らない猫に出迎えられて
驚くだろうな
君も
君の待つ人も
幸せでありますように
さようなら