緊急指令:恋せよ乙女っ!

「え…と、人としては好きですけど、恋愛ではその、違います…」


ソッと上目遣いで見やると、安心したように彼は頬を緩めた。


「そ、か。違う、んだ…」


柔らかい表情に胸がまたざわつき始め、ちえはそれに困惑気味に眉を垂れさせる。


「じゃあ、僕のことは?好き?嫌い?」


“好き”その言葉に自分の中の何かが確かに反応した。

ざわつきが大きくなる。


(もしかして、私…)


「聞いても、いいですか」


互いに視線を絡ませあいながら彼女は訊ねる。
ルイスは不思議そうに首を傾げながらも頷いた。


「あの、私、今日の朝、ルイスくんの笑った顔を見てドキドキしたん、です」

「…」


ルイスはいきなりの発言に目を見開き、恥ずかしそうに口を動かすちえを凝視する。しかし彼女の方はそんなことを気にする余裕はない。


「でも、その…ルイスくんがあまりにもいつもと同じだったから、昨日のことはからかわれたのかなって…」

「それは違っ!」

「分かってますっ!」


強い口調で言い切ると、彼は口を閉ざす。
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