緊急指令:恋せよ乙女っ!

「分かってます。さっきのルイスくんを見たら本当なんだって分かりましたから」

「…」

「それで…私、嬉しかったんです。すごく、嬉しかったんです」

「ちえ…」


ふわりと小さく微笑む彼女を抱き締めたい衝動に駆られたが、ルイスはぐっと踏ん張って耐える。


「今も、こうしてルイスくんと一緒にいて、ドキドキします」


羞恥に赤面させながら窺うようにちえは彼を見、そっとブレザーの袖を掴む。掴む手がふるふると震えていた。


「これは、なんて言う感情ですか…?」

「…っ」


ルイスはグイッと裾を掴まれていない反対の手で、ちえに掴まれている手首を自身に引き寄せた。


「そんなの、恋に決まってるでしょ」


耳元で、甘く優しく彼の音を響かせる。視界の端でさらりと光り輝く髪が揺れた。


「恋…」


慣れない単語に復唱する彼女にルイスは大きく
顔を上下に動かす。


「そう。ちえは僕が好きなんだ」


言い聞かせるように口にした彼に笑って、ちえは少し身をよじらせ腕の中からルイスにはにかむ。


「はい…じゃなくて、えと、うん。好き…だよ、ルイスくん」


敬語を嫌がったことを思い出して照れくさそうに言い直しながら自分の想いを告げるちえ。
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