緊急指令:恋せよ乙女っ!
「あの…何でそんなことを…」
おずおずと質問する彼女にルイスはにこりと微笑む。
「簡単なことだよ。人は外見から入るから」
「外見…?」
「相手の中身を見る前に必ず外見を見るでしょ」
そこまで言われてようやく理解したちえはこくこくと小動物のように頷く。
「これは人それぞれだけどね、僕の経験上外見と中身が一致してると人が寄ってきやすくて馴染みやすいんだ」
僕の場合はほら、金髪だから王子様みたいに優しくて常に笑顔でって具合に、と付け足す。
(…確かに直ぐ慣れる為にはいいかもしれない。トムリアムくんの場合は外人だから余計に)
でもそれって。
「…疲れませんか?」
ジッと下から覗き込むように見やると、彼は息を吐き出した。
「そうだね。疲れる」
(…やっぱり)
ずっと気を張ってなくてはいけないのだから、疲れない方が可笑しい。
「でもその心配は必要ない。これからは蓬田さんがいるから」
「え?」
グイッと腕を引かれ、スポリとルイスの胸に身体が収まる。
「…ねぇ君。僕に恋しなよ」
彼はフと愉快そうに、そしてどこか意地悪げに囁いた。