歩き出せ私たち
それから私達は、近くの公園まで、二人で歩いた。
まるで何かを誤魔化すように、くだらない思い出話なんかしながら。
でも、こんなときに限って、くだらない話が思い出せなくて、すぐに話は尽きてしまう。
私はともかく、トモヤは沈黙を嫌うタイプだから、何か話題を探してるっていうのは、隣にいてひしひしと感じられた。
「駄目だ、なんも思いつかねー」
「うん、そうだね」
「んー・・・・」
「・・・・どうしようね、これから、私達」
トモヤは頭を抱えて、もう「んー」しか言わない。
お互いに、お互いの気持ちには気付いてて、でも、探り合っている。
きっと私達は、こういった話が心底苦手だ。
だから、ついつい、はぐらかしてしまう。
後回し後回しを繰り返して、今に至っている。
「まさかね」
「まさかだなーほんと」
「ほんと、まさかだね」
「このタイミングって、ねーよなぁ」
「どのタイミングでも、驚くでしょ」
「まーな」
「まさかこのタイミングで気付かされるなんてね」
「まさかこのタイミングで終わるなんてな、」
この日、私達は失恋した。
それと同時に、仲良しだった幼馴染みと別れ、二人ぼっちになった。